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No.13 溶離液について

HPLC分析でデータのトレースができないときはカラムに原因があると考えがちですが、装置のメンテナンス不足などカラム以外に原因がある場合も多くあります。 ここでは使用する溶媒のグレードの違いがピーク形状に影響する例を紹介します。アセトニトリル/水を溶離液にして塩基性化合物を分析したクロマトグラムを示します。ピーク2が塩基性化合物です。

図1はHPLC用のアセトニトリルを、図2は特級のアセトニトリルを使用した場合で、その他の条件は同一です。HPLC用のアセトニトリルではブロードであったピーク形状が、特級のアセトニトリルでは良好になっています。また、特級のアセトニトリルではメーカーによってもピ-ク形状に差が認められました。この原因はアセトニトリルに含まれる微量の不純物が溶離液に添加する塩と同様の働きをしているためだと考えられます。
溶離液をアセトニトリル/5mM酢酸アンモニウムに変更すると、特級、HPLC用いずれのアセトニトリルを使用しても図2のようなクロマトグラムが得られました。

このような溶媒のグレードの違いの影響を避けるためにHPLC用の溶媒を用いる必要があります。また、解離基を持つ化合物でも酸や塩を含まない溶離液で分析できる場合もありますが、再現性を重視する場合は塩などを含む溶離液を使用するようにしてください。