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逆相HPLCでイオン性化合物を分析する場合、酸や緩衝剤で溶離液のpH調整をおこないます。しかし、化合物に対して不適切なpH範囲で分析をおこなうと、ピーク割れやブロードニングなどのトラブルを引き起こす場合があります。また、ピーク形状に問題がない場合でも保持時間の再現性が得られない場合もあります。
グラフは安息香酸の保持と溶離液のpHの関係を示しています。溶離液のpHが2から3.5の範囲ではk'の変化が比較的小さいのに対して、pH3.5から4.5では大きく変化しています。安息香酸のpKaは4.2であり、pKa付近でk'の変化が大きいことがわかります。溶離液のpHをこのようなk'の変動が大きいpKa付近に設定すると、溶離液pHのわずかな調整誤差が分離に影響して再現性のある結果が得られなくなる可能性があります。実際、溶離液のpHが0.1異なるだけで分離に影響することもあります。したがって、分析条件を設定するにあたって、溶離液のpHはpKaから1以上離れたところに設定することが望まれます。pKaが判らない場合は、溶離液のpHと保持時間の関係を充分検討して、溶離液pHの分離への影響が小さいところに設定してください。
検討過程では、分析条件として設定しようとしているpH付近で、pHをわずかに変えた溶離液を何種類か調整して分離への影響の有無を確認することも重要です。