逆相カラムでペプチド・タンパク質の分離をする際は、カラムの選択がポイントとなります。分離対象物質の分子量に合わせて適切なカラムを選択し、グラジエント勾配や移動相溶媒、カラム温度など分離条件の最適化を行います。
カラム | ターゲットのペプチド・タンパク質の分子量や疎水性に合わせてカラムを選択 |
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移動相 | 0.1% TFA/acetonitrileのグラジエント溶出がファーストチョイス |
温度 | 分子量が1万以上のタンパク質において、高温分析が非常に効果的 |
逆相カラムの選定は、下図を参考にして、分離対象物質の分子量や疎水性を目安に行います。その下のグラフでは、分子量1,859から76,000までのペプチド、タンパク質について、細孔径30 nmのTriart Bio C18とTriart Bio C4、細孔径12 nmのTriart C18でピークの半値幅を比較しています。
ペプチドなどの分子量が1万程度までの物質の分離には、細孔径が12 nmのTriart C18やTriart C8が有効です。分子量が1万以上のタンパク質では、分子が十分に拡散できる細孔径30 nmのワイドポアカラムが適しています。Triart Bio C4は細孔径が30 nmで、高温条件との組み合わせで分子量15万程度の抗体の分析にも適用できます。また、分子量のほか、分離対象物の疎水性も考慮してC18、C8、C4などから最適なカラムを選定します。 カラムハードウェアへの吸着が懸念される場合には、バイオイナートカラムAccura Triartが有効です。
Column | 150 X 3.0 mmI.D. |
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Eluent | A) water/TFA (100/0.1) B) acetonitrile/TFA (100/0.1) 10-95%B (0-15 min) |
Flow rate | 0.4 mL/min |
Temperature | 40°C |
Detection | UV at 220 nm |
Injection | 4 µL (0.1-0.5 mg/mL) |
Sample | γ-Endorphin (MW 1,859), Insulin (MW 5,733), Lysozyme (MW 14,000), β-Lactoglobulin (MW 18,363), α-Chymotrypsinogen A (MW 25,656), BSA (MW 66,000), Conalbumin (MW 76,000) |
高温条件では、分離選択性の変化やピーク形状の改善により、分離度が向上しています。高温条件でのピーク形状改善の効果は、タンパク質の分子量が大きいほど顕著となります。
Triartは耐久性に優れているため、高温でも安定した分析が可能です。
Column | YMC-Triart C18 (1.9 µm, 12 nm) 50 X 2.0 mmI.D. |
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Eluent | A) water/TFA (100/0.1) B) acetonitrile/TFA (100/0.1) 10-80%B (0-5 min) |
Flow rate | 0.4 mL/min |
Detection | UV at 220 nm |
目的化合物の分子量からカラムを選択し、一般的な条件で検討しても分離がうまくいかない場合には、カラム温度や移動相溶媒の種類などを変更することで分離が改善することがあります。 ここでは抗菌ペプチドの分析条件検討例を示します。
Column | YMC-Triart C18 (1.9 µm, 12 nm) 50 X 2.0 mmI.D. |
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Flow rate | 0.4 mL/min |
Detection | UV at 220 nm |
一般的なペプチド分析条件で検討すると分離しませんが、温度を70℃に上げて分析すると1, 3のピークと2のピークが分離しています。
Eluent | A) water/TFA (100/0.1) B) acetonitrile/TFA (100/0.1) 25-45%B (0-5 min) |
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TFAの濃度や酸の種類をギ酸に変更することで分離選択性が変化し、分離が大きく改善しています。さらにアセトニトリルのグラジエント勾配を緩やかにすることで分離度が向上しています。
Eluent | A) 酸含有水溶液 B) 酸含有アセトニトリル溶液 (0.1% HCOOHのB液は0.08%) |
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Temperature | 70℃ |
有機溶媒の組成をacetonitrileから2-propanol/acetonitrile混液に変更し、グラジエント条件を最適化することで、同等の分析時間で分離度が向上しています。ペプチド・タンパク質の分析では、移動相に溶出力の高い2-propanolを添加することで、選択性が変化し分離が改善することがあります。
Eluent | A) 0.1% formic acid in water B) 0.08% formic acid in organic solvent |
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Temperature | 70℃ |