スフィンゴ脂質は生体膜を形成する主要な成分であり、細胞内シグナル伝達分子としても重要な機能を担っています。糖尿病やアルツハイマー病など様々な疾患に対して、それらの存在量が大きく関わっているため、生体試料中に含まれるこれらの量を測定することが重要です。スフィンゴシン1-リン酸(S1P)やセラミド1-リン酸(C1P)のようなスフィンゴリン脂質のLC分析においては、従来、金属配位性を有するリン酸基が存在することによりピークテイリングが引き起こされやすく、分析感度や再現性に問題がありました。
YMC-Triart C18 メタルフリーカラムを用いることにより、良好なピーク形状が得られることがGowdaらにより報告1)されていますので紹介します。
リン酸基を有する化合物をHPLCで分析する際に、分析環境における金属イオンへの吸着によるピーク形状や再現性、定量性の不良が問題となる場合があります。
対応方法として金属不純物の少ない充填剤を充填したカラムを使用することが重要です。また、特に配位性の強い化合物の分析や、LC/MSなどによる高感度分析においては、カラムハードウェアの素材も重要で、ステンレス製カラムからメタルフリーカラムへの変更も分離改善に有効です。
YMC-Triart C18 メタルフリーカラムは、カラムハードウェアの内側(接液部)が PEEK製のカラムで、配位性化合物の高感度分析に有効です。
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ステンレス製カラムではピークに大きなテイリングが認められますが、Triart C18メタルフリーカラムではピーク形状が大きく改善されています。
Sphingosine-1-phosphate (S1P)
Ceramide-1-phosphate (C1P)
Eluent | A) methanol/acetonitrile/water (1/1/3) containing X B) 2-propanol containing X X ; 5 mM ammonium acetate, 500 nM EDTA, and 0.025% NH3 water |
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Gradient | 0%B (0-1 min), 0-50%B (1-5 min),
50-64%B (5-11 min), 64-95%B (11-13 min), 95%B (13-15 min), 0%B (15-20 min) |
Flow rate | 0.25 mL/min |
Temperature | 40ºC |
Detection | ESI, positive |
Injection | 1 µL |
Instrument | LC) Waters ACQUITY UPLC H-class system |
Siddabasave Gowda B. Gowda, Kazutaka Ikeda, Makoto Arita,
Facile determination of sphingolipids under alkali condition using metal-free column by LC-MS/MS,
Analytical and Bioanalytical Chemistry, 410 (20): 4793-4803 AUG 2018