テクニカルインフォメーション

YMC-Triart Bio C4を用いた化学修飾型オリゴ核酸の分離

アンチセンス核酸、siRNAなどの核酸医薬は、オリゴ核酸を薬効分子とし、これまでの低分子医薬品では治療が難しかった疾患に対する画期的な治療薬として盛んに研究・開発されています。核酸医薬においては、オリゴ核酸分子が細胞内に取り込まれにくいことが課題の一つですが、オリゴ核酸分子の末端にジスルフィド分子を導入することにより、短時間で効率的に細胞内に送達できることが報告されました1)。この膜透過性オリゴ核酸のHPLC分離において、導入するジスルフィドユニットの疎水性が高いと、C18カラムを用いた逆相分離では溶出困難でしたが、固定相のアルキル鎖が短く疎水性相互作用が小さいYMC-Triart Bio C4を用いることで良好な結果が得られました。

ジスルフィドユニットを導入したオリゴ核酸(ジスルフィド核酸)の分離

膜透過性オリゴ核酸

核酸医薬の薬効本体であるオリゴ核酸は負電荷を帯びた高分子のため、疎水性の細胞膜への透過効率が低いという問題がありました。オリゴ核酸に様々な化学修飾が試されている中、下図のようなジスルフィドユニットを導入することで、ジスルフィド基がオリゴ核酸の細胞内取り込みを促進し、数分程度で効率的に細胞質内へ送達できることが報告されました1)

高疎水性オリゴ核酸の分離

高疎水性のジスルフィドユニットを導入したホスホロチオエート(S化)オリゴ核酸を分離しました。C18カラムでは、強い疎水性相互作用のため目的のジスルフィド核酸は溶出しませんでしたが、固定相のアルキル鎖が短いC4カラムYMC-Triart Bio C4では、適度な相互作用により良好なピーク形状で検出できました。

*ジスルフィド分子ユニット未導入のS化オリゴ核酸

Column 5 µm, 250 X 4.6 mmI.D.
A) 50 mM TEAA* (pH 7.0)/acetonitrile (95/5)
B) acetonitrile
5-95%B (0-30 min), 95%B (30-35 min),
95-5%B (35-35.1 min), 5%B (35.1-45 min)
Flow rate 1 mL/min
Temperature 50°C
Detection UV at 260 nm
Sample crude reaction mixture
* triethylammonium acetate
Reference 1)

Zhaome Shu et al. (2019) Disulfide-Unit Conjugation Enables Ultrafast Cytosolic Internalization of Antisense DNA and siRNA. Angew. Chem, 131, 6683-6687

Courtesy of Saki Kawaguchi, Chemistry Department, Nagoya University, Japan