テクニカルインフォメーション

ペプチド・タンパク質の分離

ペプチドやタンパク質を分析する際は目的によって適切な分離モード・カラムを選択します。高分離が必要な場合にはイオン交換や逆相HPLCが用いられます。逆相HPLCでは、分子量15万程度までのタンパク質の分離が可能です。
サイズ排除は分子量によって分離するため、分子量分布などの情報を得ることもできます。

ペプチドマッピングの分離モードによる比較

BSA(MW 66,000)のトリプシン消化物を3種類の分離モードで分離しています。サイズ排除のクロマトグラムから、この試料中には、分子量が100前後から20,000程度のものまで幅広い分子量のフラグメントが存在していることが分かります。一方、イオン交換や逆相は、各成分の構造の違いによる分離能に優れ、非常に多くのピークが検出できています。

イオン交換

BioPro IEX QA 5μm, 50 X 4.6 mmI.D.

Eluent A) 20 mM Tris-HCl (pH 8.6)
B) 20 mM Tris-HCl (pH 8.6) containing 0.5 M NaCl
0-15%B (0-30 min), 15-60%B (30-60 min)
Flow rate 0.5 mL/min
Temperature 25ºC
Detection UV at 220 nm
Injection 20 µL

サイズ排除

YMC-Pack Diol-120+Diol-60 5μm, 500 X 8.0 mmI.D. X 2

タンパク質・ペプチド較正曲線
1. Myoglobin    (MW 17,000)
2. Insulin (Bovine)   (MW 5,700)
3. Neurotensin   (MW 1,672)
4. Tetraglycine   (MW 246)
5. Glycine     (MW 75)


Eluent 0.1 M KH2PO4-K2HPO4 (pH 7.0)
containing 0.2 M NaCl/acetonitrile (70/30)
Flow rate 0.7 mL/min
Temperature ambient (25ºC)
Detection UV at 220 nm
Injection 5 µL

逆相

YMCbasic 5μm, 150 X 2.0 mmI.D.

Eluent A) water/TFA (100/0.1)
B) acetonitril/TFA (100/0.1)
5-35%B (0-50 min), 35-45%B (50-55 min), 45%B (55-60 min)
Flow rate 0.2 mL/min
Temperature 37ºC
Detection UV at 220 nm
Injection 1 µL

ペプチド・タンパク質・抗体分離におけるカラム選択ガイド

分子量を指標としたTriartカラム選択の目安

ペプチドなどの分子量が1万程度までの物質の分離には、細孔径が12 nmのTriart C18やTriart C8が有効です。分子量が1万以上のタンパク質では、分子が十分に拡散できる細孔径30 nmのワイドポアカラムが適しています。Triart Bio C4は細孔径が30 nmで、高温条件との組み合わせで分子量15万程度の抗体の分析にも適用できます。また、分子量のほか、分離対象物の疎水性も考慮してC18、C8、C4などから最適なカラムを選定します。