テクニカルインフォメーション

生体試料中のトリプトファン代謝物のLC-MS/MS分析

トリプトファンは必須アミノ酸の1つで、その代謝物は糖代謝や免疫系への関与のほか、脳神経疾患、肝疾患、腎疾患など多様な疾患と関連があることが報告されています。トリプトファンおよび代謝物の測定にはHPLCが使用されますが、これらの中には金属配位性の化合物も含まれており、ステンレス製のカラムへの吸着が懸念されます。
ここでは、バイオイナートカラムAccura Triart C18を用いて、生体試料中のトリプトファン代謝物をLC-MS/MSにて分析した事例を紹介します。

キヌレニン経路中のトリプトファン代謝物



バイオイナートカラムとステンレス製カラムの比較

バイオイナートカラムAccura Triart C18および汎用的なステンレス製カラムYMC-Triart C18で、トリプトファン代謝物を分析しました。
Accura Triart C18は、フリットを含む接液部をバイオイナートコーティング処理したハードウェアにTriart C18を充填したカラムです。Accura Triart C18では、キノリン酸(QA)などの金属配位性化合物もシャープなピーク形状が得られ、高感度分析が可能です。

1.  QA
2.  PA
3.  KYN
4.  XA
5.  KA
6.  TRP

Column 1.9 µm, 12 nm, 50 X 2.1 mmI.D
Eluent A) 10 mM ammonium formate–formic acid (pH 3.7)
B) acetonitrile
5–50%B (0–3 min)
Flow rate 0.4 mL/min
Temperature 40°C
Detection UV at 254 nm

生体試料中のトリプトファン代謝物の分析

上記のUHPLC条件を応用し、魚の脳をホモジナイズして得たトリプトファン代謝物をLC-MS/MSで定量しました。Accura Triart C18を用いることで、脳組織1 mgあたりpgオーダーの高感度で検出が可能です。

Analytes m/z Concentration
(pg/mg tissue)
1. QA 168.20>78.15 49.24
2. PA 124.15>78.15 51.13
3. KYN 209.25>192.20 37.57
4. XA 206.20>160.20 52.52
5. KA 190.20>144.20 13.00
6. TRP 205.20>188.25 3,092.42
Column Accura Triart C18 (1.9 µm, 12 nm), 50 X 2.1 mmI.D
Eluent A) 10 mM ammonium formate–formic acid (pH 3.7)
B) acetonitrile
5–50%B (0–4 min)
Flow rate 0.3 mL/min
Temperature 40°C
Detection ESI positive mode