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(条件の変更による分離への影響など)
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mRNAは、2020年に新型コロナウイルスのワクチンとして承認されたのを機に、様々な感染症ワクチンや癌・遺伝子疾患などの治療薬として急速に研究開発が進んでいます。その特性解析や品質管理、製造における分析・精製の手段の一つとして、HPLCでの分離が期待されます。
ここでは逆相モード、イオン交換モードによるmRNAのLC分離例をご紹介します。
mRNAは分子サイズが大きいため、細孔径の大きな充填剤のカラムが適しています。mRNAは負電荷を帯びた高極性分子であり、逆相分離においては保持が弱いため、移動相にはトリエチルアミン (TEA) などの正の解離基を有するイオンペア試薬が用いられます。
下記の(A)のクロマトグラムは、mRNAのモデル化合物として、100–1000 basesのRNAマーカーを分析した例を示します。細孔径30 nmのワイドポアカラムTriart Bio C4を使用し、移動相には酢酸トリエチルアミン (TEAA) 水溶液とアセトニトリルを用いています。種々の条件を最適化することでピーク形状が改善でき、すべてのピークを良好に分離できました。
(B)のクロマトグラムは、RNAマーカーの分離条件を参考に、Accura Triart Bio C18を用いて市販のEGFP mRNA (996 nt) およびCas9 mRNA (4521 nt) を分離した例を示しています。それぞれのmRNAが異なる保持時間に溶出しています。
条件検討やカラム選択については、技術資料をご覧ください。
(A)RNAマーカー (100-1000 bases) の分離
Column | YMC-Triart Bio C4 (3 µm, 30 nm) 100 X 2.1 mmI.D. |
---|---|
Eluent | A) 50 mM TEAA* (pH 7.0)/ acetonitrile (95/5) B) acetonitrile 5-10%B (0-10 min) |
Flow rate | 0.2 mL/min |
Temperature | 50°C |
Detection | UV at 254 nm |
*triethylammonium acetate
【分離改善の検討項目】
カラム温度
移動相の緩衝液濃度
移動相pH
グラジエント勾配
カラムハードウェア
Column | Accura Triart Bio C4 (3 µm, 30 nm) 100 X 2.1 mmI.D. |
---|---|
Eluent | A) 50 mM TEAA (pH 7.0) B) 50 mM TEAA (pH 7.0)/ acetonitrile (50/50) 18-22.5%B (0-10 min) |
Flow rate | 0.2 mL/min |
Temperature | 80°C |
Detection | UV at 254 nm |
(B)市販mRNAの分離
Column | Accura Triart Bio C18 (3 µm, 30 nm) 100 X 2.1 mmI.D. |
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Eluent | A) 50 mM TEAA (pH 7.0) B) 50 mM TEAA (pH 7.0)/acetonitrile (50/50) 20-25%B (0-20 min) |
Flow rate | 0.4 mL/min |
Temperature | 80°C |
Detection | UV at 254 nm |
Injection | 1 µL (0.25 mg/mL) |
Sample | CleanCap® EGFP mRNA (5moU) [996 nt] CleanCap® Cas9 mRNA (5moU) [4521 nt] (TriLink Bio Technologies) |
陰イオン交換モードでのmRNA分離において良好なピーク形状を得るには、緩衝液のpHを高くする、あるいは添加剤を加える方法があります。
下図の(A)は移動相に高pHのNaOHを用いています。シャープなピーク形状が得られ、マイナーピークも分離できています。ただし、アルカリによるサンプルの分解を抑えるため、分析温度を15°Cの低温にし、短時間で分析するなどの工夫が必要です。
(B)はTris緩衝液にイオンペア効果のある塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を添加した例です。pH 8.1、カラム温度30°Cのマイルドな条件で、EGFP mRNAとCas9 mRNAが分離できました。
(A)高pH条件
Column | BioPro IEX QF (5 µm) 100 X 4.6 mmI.D. |
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Eluent | A) 10 mM NaOH B) 10 mM NaOH containing 2 M NaCl 0-100%B (0-9 min), 100%B (9-13 min) |
Flow rate | 1.0 mL/min |
Temperature | 15°C |
Detection | UV at 260 nm |
Injection | 5 µL (0.025 mg/mL) |
Sample | CleanCap® EGFP mRNA (5moU) [996 nt] (TriLink Bio Technologies) |
(B)イオンペア試薬添加条件
1. EGFP mRNA
2. Cas9 mRNA
Column | BioPro IEX QF (5 µm) 100 X 4.6 mmI.D. |
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Eluent | A) 20 mM Tris-HCl containing 0.5 M TMAC* (pH 8.1) B) 20 mM Tris-HCl containing 0.5 M TMAC* + 2.0 M NaCl (pH 8.1) 25-35%B (0-10 min) |
Flow rate | 0.5 mL/min |
Temperature | 30°C |
Detection | UV at 260 nm |
Injection | 8 µL (each 0.013 mg/mL) |
Sample | CleanCap® EGFP mRNA (5moU) [996 nt] CleanCap® Cas9 mRNA (5moU) [4521 nt] (TriLink Bio Technologies) |
*Tetramethylammonium chloride
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